あの時まんこが濡れてたら
好きな女に振られた。これで2度目だ。
一度振られた後は全く会っていなかったが、先日彼女の方から連絡が来てまた会うようになり、そしてまた振られた。
その日は僕の家で飲んでいた。料理教室講師の彼女に素人の僕が「ウチでメシつくるから飲もうよ」みたいな訳の分からない事を言って僕の家に呼んだのは超反省してる。 今は姉ちゃんと同居してるのでどういう展開になるにせよウチに泊めることは出来ない。なんで隣駅に住む彼女を送るついでにカラオケ行こうかという流れに。そこで「このあと家泊まっていい?」なんてジャブを打ったんだけど「それは無理だなあ〜笑」と見事に躱されちゃった。かなしいね。
何はともあれカラオケに入店。世代が近い人なら分かると思うんだけどこれデュエットしてどうにかならない男女おらんやろ楽曲の1位2位である
モノクロ/HY
なんか歌っちゃってね、色々盛り上がったけど時間も時間だし帰るか、と。んで愛用のママチャリで彼女の家まで送ってたら「明日私の家から会社行けるの?」なんて聞いてくるわけ。
なっんだよ!さっきのジャブ効いてんじゃねえかよ!てかジャブどころかアッパー入ったんじゃない!?!?おいおいマジかようぃ〜〜〜↑↑↑
すみません取り乱しました。でもこれヤバイよな。誰だってテンション上がっちゃうよな。え?そんなん童貞とかセカンド童貞だけ?そうかごめん。
そんなこんなで彼女の家に到着。荷物を置いて一息つく間もなくシャワー浴びてきなよ、と促された僕は股間の膨張に気付かれないようそっとお風呂場に駆け込み、いつもの35倍くらい入念に局部を洗う。
彼女の方もシャワーを済ませいざベッドイン。
決戦の時である。
性行為の経験なんて10年前に数回したのと年1程度風俗行くくらいだ。圧倒的に経験値が足りない。これでいいのかどうかが全く分からず進めていくうちに僕は自分のある異変に気付く。
まずい。エゲツないぐらい口の中が乾いている。唾液が分泌されていない。なめらかさが足りない。舌が乳房を滑らない。慌てて水を飲むも全くどうにもならず、焦りで余計口の水分が奪われていく。もうどうにもならないし、とりあえず続けるしかない。今日はザラついた舌で勝負するしかない。僕は腹を括った。
全く潤いのない口内状態で前戯を続けながら手は下半身へ。今年25才になるのにクリトリスの触り方がイマイチ分からないのマジで恥ずかしいなははは、なんて思いながらもクンニしようと顔を彼女の股間に近づけると途端にそれを避けられた。ああまあとりあえず一旦恥ずかしがってみるやつね、うんわかるわかるなんて思ったのだけどどうやら本当にされたくないらしい。
話を聞いてみると、男が酒飲むと勃たなくなる人がいるように、私も今日飲み過ぎて全然濡れない。それは女として恥ずかしいから今日はできない。とのこと。
(これは彼女のついてくれた優しい嘘で実は僕の雰囲気作りや前戯があまりにも下手すぎてあっちが萎えてしまった、という可能性も僕はマジで危惧していますがとりあえず一旦話を進めます)
まあそういうならと思いその日は普通に寝ることに。その後ヤってもないのに何故か始まったピロートークは、僕と会う前から関係のある男がいるという話だった。ちなみに彼女は少し前まで彼氏は彼氏でいたのだが、そいつともその間ずっと会っていたらしい。
「今はその人が一番なんだ。」
好きな女のベッドで、好きな女に手マンするとこまでいったのにヤれず、好きな女がまあまあ男好きで、好きな女の好きな男の話を聞かされる僕。本当に幸せになってほしい。
他にも色んなことを手繋ぎながら、たまにちゅーしながら朝まで話し、会社に向かう僕はこう思っていた。
今好きな男がいるかもしれんけど、元々僕が出会った時から彼氏はいたし、ここまでやったらもう次はいけるやろ、と。
僕はその日仕事を早めに切り上げ、12時間前までいた彼女の部屋のインターホンを押した。適当に飲みながらどうえっちまで持っていこうかなまあでも昨日あそこまでいったし簡単かなんて僕の甘い考えはすぐに捨てさせられる。
「昨日は流れでああなっちゃった。今はその昨日話した人が一番だから。変な期待持たせてたら謝らなきゃいけないなあと思って。」
おい〜↑↑↑嘘だろ〜↑↑↑昨日から散々期待して勃起し続けてきたこのちんこはどうなるんだ〜↑↑↑俺よりまず先に海綿体に謝れ〜↑↑↑
とまあ要は
僕のことやっぱそういう風には見れない。他に相手もいるし諦めてほしい、という話をされた。今更そんなこと気にしないし、諦めないよ、なんて嘘を含んだ強がりの言葉を返し続けるしかなかった。もうどうしようもなくて、そうするしかなかった。
その後
「やまだの気持ちには応えられないけど、でもね、自分のことを好きでいてくれてる人といるのは楽で心地良いんだよ。今も私は他に相手がいて、やましいことだって分かってるけど、やまだの好意と優しさに甘えてる」なんてどっかの映画で聞いたことがありそうなセリフを彼女は言った。異性に好かれたことなんてない僕にその気持ちは分からなかったけれど、実際その"私は好きじゃないけど相手は私のことを好き"な男の腕に抱かれ髪を撫でられながら口にするくらいだからきっとそういうもんなんだろう。
そして更に一通り話をしたけれど、結局最後まで僕は彼女を振り向かせることが出来ず、
僕はヤってもいないし彼氏でもなんでもないくせに、玄関先で彼女の部屋を後にする彼氏がそうするようにそっと別れのキスをして彼女の部屋を出た。
こうして僕は
"クンニ拒否アフロ"
"ヤってないのにピロートーク"
みたいな不名誉でちょっとおいしい2つ名を手にすることとなり、手マンまでいったのにえっちできず、同じ女に2度振られたわけです。
あの時まんこが濡れてたら
えっちできてただろうか。セフレになってただろうか。それとも、僕が彼氏になってただろうか。
今となってはもう何も分からないけれど、確実に言えることは一つ。
セカンド童貞卒業までの旅は、まだまだ続く。(続かせたくない)