勝浦シティ。すごいぞやまだくん鴨川旅館編Vol.8

つづき

 


今日もどっか散歩しに行こうと家を出る休日。

 

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林の中を歩く。前回の舗装されてない道路よりはマシだと思ったけど日本にこんな道なんて腐るほどあるんだよな。都心住んでたから忘れかけてたけど。

 

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途中でトンネルに差しかかる。山なんだしそりゃトンネルぐらいあるのだが、ここ、先が見えない。は?何?千と千尋の神隠しでもはじまるん?徒歩なので車のライト使えるわけでもないし、日常生活では太陽の次に眩しいiPhoneのライトもここでは心許ない。引き返そうかとも思ったが、この程度で引き返してちゃ今後も田舎散策出来ないだろ。行くしかない。


足を踏み入れたところで、今の時期は蛇が出るから気つけなと言われたことを思い出す。うわ〜〜〜めっちゃ半袖短パンだし噛まれたら一発OUTやん。光に寄せられて来ないようにライトは点けずに進む。怖いし湿ってるしこわいよおかん。後から調べたことだが蛇は熱感知能力が高く赤外線でモノを捉えることが出来るそう。意味な。普通にライトつけりゃ良かった。

 


その後は車道のすぐ横が断崖絶壁になっているようなところ(写真撮り忘れ)を越え行川アイランド駅に着。

 

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なんか印象に残った建物


外房線に乗りこの日は勝浦で降りる。ここは武道大学のキャンパスがあるだけに到着即武大生がめちゃくちゃ幅を利かせている(数人が原付乗ってるだけ)。鬼学歴コンプレックスの僕、友達以外の大学生は全員嫌いなので一瞬帰りたくなる。

 

 

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高台の神社に登る途中から。

 

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砂浜にポツンとある鳥居。元々はここに熊野貴船神社があったらしいのだが度重なる災害で場所を移動。せめて以前の場所に鳥居だけでも残しておきたい、みたいなことらしい。へえ〜13回。
にしてもこっち来てから数ヵ所の海水浴場に行ったけど、勝浦の浜の砂が一番綺麗だ。定期的に掃除してるのかゴミも落ちてないし、砂の粒子が細かい?みたいな感じ。気持ち良いし誰もいないので上裸になって本読んでたら羽虫にたかられた。ウザかった。すぐ撤収した。

 

 

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この日のご飯。カツオの刺身定食。おいしかった。おじいちゃんと中高生のお孫さんと思われる女の子が接客してくれた。僕はこういう家族の店を手伝う若い子とかに本当に弱い。女オタっぽく言うと"ん〜〜〜尊い〜〜〜"って感じ。本人達はそんなの微塵も思っちゃいないだろうが。


その後は八幡岬までふらふら。当たり前だがやっぱこの辺海岸沿いの観光スポット多いな。


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干してたタコ

 

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イカしたアート。天気って描きたかったのかな。

 

 

今みたいに短期間の住み込みバイトとか続けて日本の地方をフラフラする生活も絶対楽しいだろうな。根無し草のような生活はきっと僕に合っている。

 

寮に帰宅するなり高木と遭遇。こいつの部屋は玄関から近いところにあるのだが、階段上がってくる足音を聞いて人が来たらそのタイミングでさも用があったかのように自室のドア開けて偶然を装って会話をしようとしてくる。クレイジーすぎんだろ。

渋々地元は青森ですと話をすると僕も両親は東北だからDNAはそうなんだよね〜というどうでもいい話をされる。僕は仮に地元が一緒だとしてもそれが理由で人と仲良くなることはない。ちょっと部屋で話そうよと誘われたが前述の通り僕はこいつに関わりたくないのでやんわりと断る。めんどくせえな。

 


つづく

そんな理由あるかよ。すごいぞやまだくん鴨川旅館編Vol.7

つづき

 

 

初休日の次の日。マジ働きたくねえなと思いながら出勤するも炙ったヤングコーンって平常時のちんこみたいだなあとか考えていたら午前の4時間が一瞬で終わった。お客さんが多く仕事が多かったのと少しずつ慣れてきたきたからかもな。はっはっは、余裕だぜ。


ここ何日か長靴での1日立ちっぱなしで毎日足が痛かったのだが中敷きを入れたら足の痛みが95%軽減された。100均の中敷きコーナーの前で用途別に種類があるのを見ながら「いや、あの厨房での仕事はもはやスポーツだろ」と熟考し選択した甲斐があった。

 

厨房には業者の人だけでなく近所のおじちゃんや従業員の知り合いの方などがよく見える。最近は國村料理長の"弟分"と呼ばれる人が来た。話の全てがそうってわけじゃないが「◯◯は△△に狙われた時に□□さんを庇って撃たれて死んだんだよなあ。」なんて話を普通にしている。その人は何故か野球のアップシューズを履いていたので、趣味で野球でもしているのかと理由を尋ねたら「これ履いてっとよお、街で狙われた時にすぐ逃げられっからよお」と教えてくれた。痺れる。

 

高木は近くに住んでいる女性社員のお宅に毎日夜遅く何かしらの理由をつけて伺っているとらしい。本気で気持ち悪がられ、ウザがられ、怖がられていた。自分もギターの音などで被害を被っているが、一旦そういうのは置き一歩引いた目で見てみるとこいつの行動おもろいな。身の回りではなく自分に影響が及ばないところにあるんだとしたら、狂気ってのはそれはそれで魅力のあるもんだ。ホラー映画とかもそれと一緒だと思う。あんなん自分が体験したら楽しめるわけないしね。まあ毎日朝早いのに眠れないし他にも何が起きるか分からないのでそんな変なやつと一つ屋根の下で生活するのは普通に無理だけど。今のところなるべく関わらないことに成功しているが、何しろ会社も住む場所も一緒なのでいつ何が起きてもおかしくない。狂気が僕の身に降りかからないことを祈る。

 

 

つづく

鴨川散策後編。すごいぞやまだくん鴨川旅館編Vol.6

 

つづき

 

 

犬と遊んだその後も戦場ヶ原公園に寄ったりして気の向くままにチャリを漕ぐ。

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公園にあったやつ。この上で本読んだら気持ちよさそうだなと試みるも体制が安定しないので(当たり前)すぐにやめた。

 

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道中にはホテルや観光スポットの看板が立ち並ぶ。この近辺には中世フランスの雰囲気がありイカしたマダムのいるアンティークホテルら・みらどーるや、アラビアンアートという中近東の雰囲気を再現したホテル&カフェがある。結構おもろいとこあるんだよな。

どうやらこの辺には鴨川二子棚田つーのがあるらしい。そこに行こう。

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決意したのはいいがまたも坂道。しかもさっきより長い。アメリカぐらい無限に真っ直ぐな道が続いている。

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途中にあった薬局。めちゃくちゃ山奥にあるし、外観からは想像できないようなヒップホップが流れ若者の笑い声が聞こえた。少し怖い。

 


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魚見塚展望台に行くより遥かに長い道のりをどうにか登り終え到着した棚田。後から調べて分かったことだが鴨川には大山の千枚田というものがあるらしい。そらに比べたらこちらの二子棚田は規模も小さいだろうしシーズンも外れているので観光スポットみたいな扱いだった割には人っ子1人いない。

 

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この下の方の池の前辺りで座る。考えてみると、自分以外の人間が誰もいない空間っていつぶりだろう。下手したら高校生の時が最後かも。ずっとぼーっとしていいると虫や鳥の鳴き声が10以上あるのに気付く。ツクツクボーシとカラス、鈴虫ぐらいしか分からない。虫は嫌いだし鳥も特段興味はないが、もっと色んな種類の鳴き声が分かって聞き分けられたらもっと楽しめるだろうな。

 

多分僕がこうして田舎に逃げてきたのって、こういうめちゃくちゃ物理的に1人になれる空間が欲しかったんじゃないのかと思う。いま都会のことを考えあのどこまでも家、家、家が続く光景を思い浮かべると嫌になる。逃げ場所のない感覚を覚える。

 

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初めて見た白い曼珠沙華。こいつらってたんぽぽみたいに種がどこからか飛んできて生えるってことはしないらしい。理由はどうあれ過去の誰かが意図してここに植えたんだと思うと歴史を感じておもしろい。

 


最近気付いたんだけど、僕は本読んだりギター弾いて歌ったり自然(田舎)を感じられるところが近くにあれば1人でも生活が完結出来る。もちろん友達と集まって飲んで騒ぐのも大好きだけど。これからずっとってなるとそれは無理だろうが数年の短中期的にはそういう生き方も出来る。


上京してきてからの8年では体験出来なかったことが思う存分出来る。この鴨川での旅館生活が終わった後また別の地方に行くのもありかもしれない。他にも日本にはまだ行きたいところがたくさんある。

 


今回はチャリで良かったけど個人的には歩きのが楽しい。徒歩の3倍ぐらい色んなとこ回れるけどその分若干楽しさも減ってる気がする。疲れるし時間もかかるけど徒歩の方がより街を楽しめる。次は歩いて回ろう。

 

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最後に食べたピザ。うま。


つづく

鴨川散策前編。すごいぞやまだくん鴨川旅館編Vol.5

つづき

 

こっちに来てから初めての休日。まずはやはり大好きな安房鴨川で過ごそう、と朝から駅前でカモチャリなるものを借りる。8H1,500円。特に行き先は決めていないので感覚で良いなと思った方にひたすら進む。晴れた日に海沿いチャリで走んの最高だな。風になってる。つじあやの


鴨川の漁港を横目に進み八雲神社というところの横に細い横道が。まずはそこを登ることに。


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最初はこんな感じで道も舗装されてていたのだが進むにつれ未舗装になり草木の密度も増えてくる。傾斜もキツくなってきた。電チャリのメモリ4つある充電が既に1つ減った。まだ30分も経ってない。返却予定まではあと7時間半。だいぶ足に来ていたが一度耐えるしかあるまい。アシストをオフにしひたすら登る。7,8分は立ち漕ぎしただろうか。これで登った先に何も無かったらウケるな、と思っていたがその先には見覚えのある場所が。

 

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僕が鴨川を好きになり今こうしてこの地で働くきっかけにもなった旅行で訪れた展望台だった。そもそもなんで鴨川に興味を持ったかというと、村山由佳先生のおいしいコーヒーの入れ方シリーズを読んだからだ。その舞台としてここ鴨川が登場する。いわゆる聖地巡礼的なやつ。

 

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展望台から。おいコーシリーズで主人公の勝利とヒロインのかれんが結ばれる場所でもある。ここより良い眺めの場所は僕の人生で見つけたことがない。嘘だな。生涯で一番「美しい………」と感じたのは初めてシックスナインした時だったわ。あの景観よりかは少しだけ落ちる。話盛ったわ。すまん。


この景色なので他にもドラマや映画のロケ地に使われているからか、駅から少し離れていて山の上という立地の割に観光客がそれなりに来る。前回来た際も小雨が降る中傘さしながら1時間ほど1人で景色見たり、この展望台で2人が結ばれる場面を読んでたら次々に人来てイラついたな。お前らどうせおいしいコーヒーの入れ方読んでないんだから来るなよな(それはいいだろ)。

 

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反対側。こっちも綺麗。ここで海山両側、鴨川の景色が一望できる。

 

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展望台にある「暁風」下からだと上手く撮れん。

 

他にもここは恋人たちが愛を誓い、誓いの証明として鍵を施錠するという、「誓いの丘」にもなってるらしく至る所に鍵がかけられている。

 

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いっぱいある。


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多分こいつらは別れた。

 


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こういうのも好きなんだよな〜〜〜。クソデジタルの時代に残る数少ないアナログのコミニュケーションツールって感じで。最近でも書き込みがされていて胸が温かくなる。こういうノートここ以外には佐野SAの(確か)上りにもあった。誰か他にも見つけたらこっそり教えてくれ。

 


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展望台近くからの景色。無加工。映画のワンシーンみてえ。


ひとしきり堪能したあと駐車場に戻ると犬を散歩させているおばちゃんがいた。許可を取りキャバリアのはなちゃんと遊ばせてもらう。犬散歩させてる人って僕が「うわ〜めっちゃかわいい〜〜〜」って見てるとすぐ声かけてくれて遊ばせてくれる。なぜかみんな優しいよな。ありがてえ。

 

 

つづく。

 

DQNのいなし方。すごいぞやまだくん鴨川旅館編Vol.4

つづき

 


勤務3日目。DQN社員と初めてちゃんとした会話をする。相変わらず怖いが思ったより会話をするのが苦ではない。あーこれあれか。こいつは同じクラスにいたら僕が何かやらされた後腹抱えて笑いながら「お前まじおもろいな、さいこーじゃん。」と言って可愛がってくれるタイプのDQNだ。慣れている。こういうタイプは常に下からいってヘコヘコし余計なことを言わず逆らわず相手を立てさせておけば基本大丈夫だ。染みついた下っ端根性はここで活きる。


別部署にも新しい人が入ってきた。僕やこの人含め最近はどんどん新しい人を採用している。みんなここ3ヶ月で一度も1日休みを取れておらず60後半のおじちゃん社員は人生で今が一番忙しいという。GoToやば。あんま政治のことは分からんがこれで失業増加を止め新たに雇用も生まれて宿含めた地域経済が(辛うじて?)死なずに済んでるってのは良いことだよな。よう分からんけど。


どうやら僕はこの期間中調理補助と洗い場でずっと厨房にいることになりそうだ。真っ白の作業着着て料理に関わるのは楽しいがどうせなら別の仕事で作務衣も着たかったな。アルエみたいだし。


一緒に帰りながら相棒はやっぱこの辺空気うまいよな〜と感動している。僕は空気に味を感じたことはない。


寮では高木が自室のドアを開けながら音楽を聴いている。共同生活の中でどういう考えを持っていたらその行動をとれるんだ。同部署の人から聞いたがどうやらジョイマン高木は仕事でもヤバイらしくプライベートでは辺りを徘徊し女の子のアルバイトにストーカー紛いのこともしているという。送っていくよ、と言いながら歌を歌いながら後ろをついてくるらしい。早く捕まった方が良いと思う。


まだ鴨川に来て一週間も経っていないのにTwitterを見ているとみんな少し遠くの世界の出来事に感じるようになってきた。前はタイムライン上のツイートやそこにいる人って手元にあってすぐ触れられるもの、みたいなイメージがあったんだけど。東京と鴨川ってそこまで離れてるわけでもないのにな。変な感じだ。

 

 

つづく

割烹着を着たヤクザ。すごいぞやまだくん鴨川旅館編Vol.3

つづき

 

出勤2日目の今日は昨日と変わり洗い場ではなく調理補助に。相棒は洗い場で僕はこちらがメインになるらしい。自分の好きな料理により触れられる分やっぱこっちのが良い。内容は社員の方が仕込んだ物を器に盛り付ける作業がメイン。慣れるまでは物の場所も分からないし量の調整が難しい。

 

そして昨日はいなかった二人の社員の方と挨拶をする。一人は細身のネックレスとギザギザしたピアスをつけて登場した若手。もう典型的なDQNて感じ。年下だが普通にこわい。もう一人は料理長。直近だと全裸監督の國村駿さんのような人である。調理場洗い場含めた板場のボスでありこの旅館、会社の部長でもあり両腕と脚に綺麗な和彫りが入っている。昔は川崎で飲食店数件の経営と"その道"もやっていたとのこと。シブくて雰囲気あってかっこよくて料理の知識もすごくて、僕ら派遣には優しいが絶対怒らせたらいかちい人だなというのが分かる。ちなみに車はアルファードでナンバーは5910。鬼痺れる。


喫煙所で小休憩していると作務衣を来たフロントや配膳をやってそうな女の子に会う。軽く話したあと

女の子「いつまでいんの?」

僕「年明けぐらいの予定すね」

女の子「え〜ほんとに〜?笑」


何が「ほんとに〜?笑」なんだ。すぐやめそうなツラにでも見えたのか?あん?こいつ初っ端からタメ口だし、この会話といい初対面の人と適切な距離の詰め方が出来ないやつまじで無理だな。数年前全員初めて会う20人以上いた飲み会でダル絡みの大暴れをし同い年の男に無理やりちゅーしようとしていた僕の話は忘れてください。


退勤後はジョイマン高木と遭遇。

高木「ギターの音結構聴こえます?」

僕「あ〜まあ笑少しだけ聴こえますかね笑」

高木「そっか〜あれアコースティックなんだけど」

エレキだろうがアコギだろうが関係ないだろ。てか音的にアンプ繋いでんだから正式にはエレアコじゃね。

高木「音量下げた方いいかな?うるさい?」

僕「ん〜まあ本当気持ち笑、気持ち少しだけ下げてもらえると助かるかなって感じですね〜笑」

高木「ちなみに何時頃寝てます?」

僕「22時ぐらいにはベッド入ってますかね〜」

高木「分かりました。そしたらその前には終わるようにしますよ。」

僕「本当っすか!助かりますすみません、ありがとうございます、お疲れ様でした〜」

ん?助かるのは事実だがすみませんもありがとうもこっちが言うことじゃなくね?一度も謝罪や感謝しなかったぞあいつ。寮で何やろうが自由だけどせめて同居人への配慮をするのともう少し申し訳なさそうにしていてほしい。


この後相棒から聞いたが高木は46才バツイチ子供2人持ち精神病棟複数回入棟経験ありアスペルガー症候群という情報を手に入れた。やはりヤバいやつっぽいな。本当に関わりたくないが同じ寮にいる以上最低限の接触は避けられない。ここは地獄か?これ以上絡まれないことを願うばかりだ。

 

 

つづく

段ボールからの声。すごいぞやまだくん鴨川旅館編Vol.2

つづき

 


業務は今日からなので改めてきちんと挨拶をする。みんな優しそうで良い感じだ。

僕がこの時聞いた限り従業員の中でも3組は兄弟や親子、親戚関係の人がいるらしい。そのためここでは下の名前でみんな呼び合うとのこと。実の家族にすらあだ名で呼ばれている僕のことを下の名前で呼ぶのは高校時代の知り合いぐらい。後はほぼいないのでなんだか照れる。中学の時唯一僕を下の名前で呼んでくれてちょっと好きになったさやかちゃんはその後僕の幼なじみと付き合った。


ここでは厨房配属になり調理場(調理、盛り付けなど)と洗い場(洗い物、片付け)に役割が分かれている。今日は洗い場だ。同い年で同じ派遣会社の寮では隣部屋のやつとペアを組んで作業をすることに。期間も同じぐらい働くそうだし仲良くなれそうだ。相棒と呼ぼう。


正直洗い物はあんまやりたかないけど、目の前で肉を焼いたり魚を捌いたり煮物を仕込んだりしていて料理が身近にある環境は楽しい。高校生の時もホテルの厨房でバイトしたことはあるがその時とは全然違う。


午前の業務を終えると長めの休憩(この日は5時間半)に入る。寮に戻り一眠りし起きたところでEDMと何かが聞こえてくる。最初は高木が歌っているのかとも思ったがどうやら違うようだ。怒鳴り声に近い。「んんんんっ!」「うおおぉっ!」「おぉおぉぉっ!」「WRYYYYYYY!」この家にはDIOでも住んでるんか。後から聞いたところ寮の1階は会社のちょっとしたスペースになっておりそこで社員が筋トレをしていたらしい。知らないとビビるだろ。


午後の業務開始まで時間があるので少し街を散策することに。海は家の前にあるからよく見てるし山の方に行こうと上がっていくとまたもや変な声が聞こえる。もうやめてほしい。変な音に悩まされるのは寮だけで十分だ。正体不明の音に怯えつつも辺りを見回していると更にか細い声が。どうやらこの中からしているらしい。

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こえ。捨てられた赤ちゃんとか入ってたりしないよな。逡巡の末開けて中身を確かめることに。まずビニール袋を持ち上げるがまあまあな重さがある。慎重に上げて下ろすと袋とビニール紐で結ばれている。

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マジ犯罪とかじゃない?大丈夫?勤務初日からそんなことに巻き込まれるのは勘弁なんだけど。無理。恐る恐る開けると予想通り赤ちゃんがひょっこり顔を覗かせた。

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いや仔猫やん。うそ。かわいい。こいつだけであの重さにはならないよな、と覗いてみると4匹の仔猫が。それだけだとただ捨てられたんだろうなって感じだが、この子達はそれぞれの足を紙糸っぽいもので縛られている。その上さっきの紙紐にビニール袋、この鉄のゴミ入れ?自体に蓋もされていたし絶対に出られないようにしてここに捨てたってことか。んー、ただ飼えなくなっただけならその辺に捨てればいいのにここまでするっていうのはよっぽどこの子達が憎かったんだろうか。


保健所に連絡すると担当の人が来てくれて保護してくれることに。糸をほどいてあげたいがあまり触らず現状のままの方が良いだろうしひとまず待つことに。

 

猫が喜ぶ動画をYouTubeで探して見せる。ネズミの声とマウスポインターが画面をチラチラ動くもの。これは喜ぶかと思ったがめちゃくちゃ威嚇された。子猫といえどジジイが痰絡まったみたいな声出すんだな。気を取り直して猫 (2018.10.7 Live at 上野恩賜公園 野外ステージ) / あいみょん を流す。無反応だった。

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捨てられてた状況を考えず手前の糸さえ無ければかわいいだけで済む写真なのだが。


保健所の人は良い感じの人で良い対応をしてくれそうだった。この前一時的には保護されるけど引き取り手が見つからなかったら殺処分の可能性もあるんだろうな。そうなる前に良い飼い主さんに出会って今後の人生、いや猫生?は幸せに暮らしてくれることを願う。

 

仕事が終わった後は相棒と一緒に旅館の温泉に入り寮に帰る。僕が雪国出身でスキースノボは一通りできるという話をすると12月とか3日2人で休み取って長野とか言っちゃう?と誘われた。相棒のことは嫌いじゃないがまだ仲良くもないし僕は基本的に会社の人とプライベートで遊ぶのが好きではない。あまり行きたくないので、ん〜ありやね〜と空返事をした。


ベッドに入り寝る準備をするも高木のギターは今日も聴こえてくる。こっちは明日5時起きだぞ。次の休みは耳栓を買いに行こう。

 


つづく。